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雨が多い街だね-アパレル販売員からの転職者が書くブログ-

元アパレル販売員で今は転職してアパレル業界の中の人をやっている著者がファッションと関係することや関係しないことを書くブログです。

ゼロ年代に取り残されていた邦楽ロック好きが再起して2016年ベストトラックを5曲選ぶ会

あけましておめでとうございます。

去年のうちにやろうやろうと思いながら年が明けてしまいましたが、個人的にツボにハマった2016年の邦楽ベストトラック記事を。

 

30歳を過ぎたあたりから「最近音楽を聴かなくなった」「90年代、ゼロ年代に好きだったバンドの最近の活動を把握していない」なんて声が周囲からちらほらと。

かくいう筆者も、以前に比べたら音楽に掛ける時間は減った。ゼロ年代の間はなんとか情報をキャッチしていたけど、2010年代になってからは、私生活や仕事の環境の変化もあって、新しい音楽を掘り起こす作業を怠っていたのかもしれない。

このままではイカンと思い立って、最近はまたかつてのように、邦楽ロックを中心にディグっていて。そんな努力(?)の結果、下記5曲を2016年のベストトラックに選定した。順不同で紹介します。

 

 

『苺畑で捕まえて』/サニーデイサービス

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再結成以降のサニーデイサービスは最初の『ふたつのハート』以来ほとんど追えてなかったのだけど、私と違って現役バリバリで邦ロック好きを続けていた友人から「最近のサニーデイがエラいことになってる」と言う評判を聞いた。それで実際にこの曲を聴いてみたら、確かにエラいことになっていた。

歌メロも演奏も歌詞も、曽我部恵一の表現したいであろう心象風景を表すために一切の無駄が無く、完成されすぎて狂気じみた美しさがある。これは自分の感受性が変なのかもしれんけど、この曲を聞いていると綺麗すぎて怖くなる。そんな曲ってそうそう無い。

サニーデイサービス~曽我部恵一BAND~ソロまでは、熱心に聴きこんで来たけど、その当時の作品含めた彼の全キャリアの中でも、一番好きな曲になった。

ちなみに、それまで一番好きだったのは『baby blue』(勿論フィッシュマンズのカバーじゃない方)で、逆に『青春狂走曲」とか『スロウライダー』とか『テレフォンラブ』はそうでも無かったりする。彼の作る内省的な曲の方が相性がいいみたい。

 

ベンジーとか、故・吉村秀樹とか、この後出てくる大森靖子とか、歌詞でなく「詩」を書くミュージシャンはいるけれど、この人もつくづく詩人である。どれだけの想像力と技巧を持っていたら、こんなにも綺麗な歌詞が書けるんだろう。

 

星型の哀しみつれて 赤く染まるまでのランデブー

見降ろす工場地帯のざわめき ゆえに幻想の愛の星

 

歌い出しからとんでもなく詩的。"星型の哀しみ"って言う表現の時点ですでにヤバくて、締めが"ゆえに幻想の愛の星"だもんなあ。

 

 

『オリオン座』/大森靖子

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大森靖子を初めて知ったのは、ピンクトカレフとバンドセットでやっている『歌謡曲』を聴いたときだった。これが自分の琴線に触れまくりで、その後『呪いは水色』をライブで聴いて、これまた衝撃的だった。"生きている 生きてゆく 生きてきた 愛の隣りで"と言うサビの歌詞を始め、曲全体からはドロっとした情念みたいなものが感じられて、言葉のパワーに取りつかれるような感覚があった。

 

大森靖子の作る曲は、結局、歌メロと歌詞と彼女の声があれば、それだけで成立するよな、と常々思っている。

 

メジャーデビューしてピンクトカレフを解散したぐらいの時期に、良い意味での音楽的な粗さやエモさが損なわれるのかな?と勝手に危惧したりもしたけど、実際は全然そんなことは無かった。大げさに言うと<大森靖子自身が音楽>みたいな人なので、どんな演奏フォーマットで歌おうが、発する歌自身が持つ芯は一切ブレないのだと思う。だから彼女の曲は強いし、アウェイのフェスなどでも場を支配することができる。

 

と言う前段を経て『オリオン座』である。

今年の最後に、とんでもない曲を放り込んで来た。リリース前に、ライブ映像でアカペラと言うか合唱曲に近い状態でこの曲がアップされて、そっちも最高だったけど、今回のCDバージョンもまた素晴らしい。

 

彼女の曲から感じる圧倒的な生への肯定。

肯定する対象は世界を息苦しく感じている誰か(その中には彼女自身も含まれているのだろう)で、そんな人たちのための歌をずっと歌い続けている。

 きっとこの曲も、聴いて救われる人が沢山いると思う。

 

名著:新しい音楽とことばの中のインタビュー内の彼女の発言で、言い回しはうろ覚えなのだけど「歌詞を作るときは、普通なら歌詞で使わないような言葉を意図的に入れて、聴く人の耳に引っかかるようにする」と言うようなことを言っていた(今回でいけば、2番のサビ頭で急に”クラスタ差別"と言う言葉が出るところなどが分かりやすいと思う)。

これは「本能のままに歌詞を書きなぐったぜ!」と言うナチュラルボーン・ロックな姿勢とは真逆の技巧的な話で、それってすごく10年代的。

彼女を<天才>と称するのだとすれば、ライブパフォーマンスや立ち振る舞いに関して、と言うよりも、活動開始から一貫して美しいメロディーを量産していることと、心に引っかかる歌詞を意図的に作れる技術に対して、が適切じゃないでしょうか。

 

トンネル堀った星の砂場で

繋いだ手をほどいたら城が崩れてしまう

遊びを続けよう

5時の鐘がなっても終わらない今日の日を重ねて

滲む世界を 抱きしめた

 

 

『愛のゆくえ』/きのこ帝国

 

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ディスイズきのこ帝国!もうどこを切り取ってもシューゲイザーの匂いしかしない。超絶シューゲイズ曲。

彼女たちのメジャーデビュー以降のポップな楽曲には賛否両論あって、私も正直に言うと、この方向性が続くとどうかなと思っていた。でもそこを経たからこそ、ニューアルバムでは音楽的な奥行きが一層深まった感がある、と手のひら返しをしたのだった。もちろん、zAKの仕事っぷりも素晴らしいとして。

『クロノスタシス』で真っ黒なビート感を取り入れた時にも驚いたけど、思えば音楽性を雑多に飲み込んで自分たちのものにして来たバンドなのだ、彼女たちは。

別にセルアウトしたわけでなく、音楽的に自然に変化したとメンバーも語っていて、それは本当なのだと思う。これまでのキャリアを全部消化した上で鳴らされる轟音はやっぱり美しい。

 

 

『さよならジージョ』/AL

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andymori解散直前に、いくつかのバンドが出演するイベントを彼ら目当てで観に行った。数曲演奏したあとのMCの最初の言葉が「その節はお騒がせしちゃってすいません」みたいな軽いノリで、観客も笑っていた。

深い理由を知る由は無いのだけど、少なくとも人生に一度は絶望して行動を取ったのであろう人間がもう一度立ち上がって、暗い過去の話を笑いながら話して、それを聞いたファンも笑って、バンドは心から楽しそうに演奏して歌を歌っている空間は、なんかもうとにかく希望しかなかった。彼を待ち続けたメンバーの気持ちみたいなことを勝手に想像して、考えれば考えるほど勝手に泣けた。

そんなライブを見たからなのか、彼らの解散は、再生と終焉が一緒に来た感触があって、喪失感よりも清々しさが勝っていたと思う。だから、ALとして再結集すると聴いても違和感は無くて、どちらかと言えば「待たせやがって」感が強かった。

で、ALの1stアルバムの中でダントツで好きな曲がリード曲のこれ。今の小山田壮平が歌うことに意味がある歌。

 

みんな知ってるフリをする みんな「しょうがない忘れなよ」って言う顔をする

僕は違う 僕は懐かしい笑顔を忘れはしない

魔法はまだ解けちゃいないよ

 

 

 

 

『片思い接近』/飯田里穂

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りっぴーである。オーケンが作詞である。

この曲を聴いたときに分かったけど、自分の音楽の好みの基準の一つに<初期のあやや感>と言うのがあるらしい。詳しく説明すると、あややと言うのは松浦亜弥と言う、つんくプロデュースのアイドルで、ここで言う初期には『桃色片思い』や『Yeah!めっちゃホリデー』は該当せず、デビュー曲の『ドッキドキ!LOVEメール』や1stアルバム収録の『笑顔に涙〜THANK YOU! DEAR MY FRIENDS〜 』『オシャレ!』あたりに顕著。

この曲は自分の中でその<初期のあやや感>が非常に強く感じられた曲だった。

別に「あ、この曲は初期のあやや感が強いから好き」と思ってその曲を好きになるわけでなく、初期のあやや感が強い曲を聴いたときに頭に浮かぶ心象風景が好きだから、必然的に初期のあやや感が強い曲を好きになる傾向にあると言うことだと思うあやや。

閑話休題。

非常に純度の高いピュアなポップスで、広く聞かれるべき名曲。歌の世界観と本人のキャラのマッチ具合が半端なくって、この曲は20歳前後の歌手が歌っても説得力に欠ける。25歳の飯田里穂が歌うから輝く曲。

むしろ声優やμ'sと言う肩書きなしで聴いた方が、純粋に楽しめるのかなと思ったりもした。

 

 

と言うことで5曲を選んでみた。

今年もいい曲にいっぱい出会いたいもんです

 

 

 

 

当ブログは、アパレル業界から広告業界に転職した管理人が、ファッション、音楽、映画、文学、アニメなどサブカル全般について書いています。
気が向いたときにだけ更新してるうちにまとまりの無い雑記ブログになりました