雨が多い街だね-アパレル販売員からの転職者が書くブログ-

元アパレル販売員で今は転職してアパレル業界の中の人をやっている著者がファッションと関係することや関係しないことを書くブログです。

アパレル販売員の店舗異動はその後のキャリアを左右するビッグイベント

▼2020年4月追記

コロナウイルスの流行にともなう緊急事態宣言の発令に合わせて、しばらくお休みしていたブログを再開しています。

こちらの記事を書いたのは2年以上前ですが、現実はもっとシビアでした。

今やアパレル業界では倒産を間近に控えた会社が激増。生き残ったブランドもリアル店舗は完全に縮小してECシフトの流れが確定的になりました。「販売員を続ける」という選択肢が限りなくゼロになっている現在、この記事に書いている内容も一部、古い情報になってしまったと感じています(今のアパレル販売員の立場は「辞めるか辞めないか」じゃなくて「少しでも早く辞めて命と生活を守れるか」のフェーズなため)。

ということで、現在の状況について書いた下記記事も、合わせてご一読ください。

 

【必読】緊急事態宣言の発令に寄せて

 (追記ここまで)

 

アパレル販売員の異動シーズンがやってくる

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冬のセールもひと段落し、春夏のコレクションが立ち上がるタイミングが近づいてくると異動の時期がやってきます。

私は合計2社で10年弱、アパレル販売員をやっていましたが、その間に地方を含む異動を何度も経験しました。ちなみに、結婚を控えていた私にとっては、頻繁に異動が発生することがアパレルを辞めるきっかけの一つになったりもしました。

 

アパレル業界では異動の辞令が出されるタイミングは様々

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そんな店舗間異動ですが、上司から異動を言い渡されるタイミングはブランドによって様々です。

一般的には一カ月前ぐらいに辞令がおりることが多いですが、急に「来週から他店に異動ね」なんて言われることも。

私の場合は、外資系のファストファッションブランドに所属していましたが、これは外資の文化なのか、割とギリギリに言われることが多かったです。東京の店舗に勤めていたときに、10日後から名古屋勤務と言われたことがあり、家探しを一日で済ませたのも今となってはいい思い出です 笑

 

そもそもなぜ異動が発生する?アパレル販売員が異動になる仕組み

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異動が多いアパレルの世界ですが、そもそもなぜ異動が発生するのか?というと大層な理由があるようですが、これはもう単純にどこかのポジションに空きが生まれるから、他のどこかからの穴埋めが必要になります。

そして、その空きが生まれる主な理由は誰かの退職ですね。

 

退職にともなう玉突き人事の異動パターン例

渋谷店のAさんが退職すると、Aさんの穴埋めのために新宿店からBさんが異動。Bさんの穴埋めのために、大阪店からCさんが異動。Cさんの穴埋めのために…という感じで、玉突き人事で人が動いていくパターンが定番です。

この場合は大阪から東京に転勤になるCさんが一番かわいそうですね。

 

本社スタッフの退職にともなう玉突き人事の異動パターン例

この手の異動は店舗だけの問題ではなくて、本社スタッフの人事とも絡んできます。

本社VMDのDさんが他ブランドに引き抜かれると、横浜店で副店長をしているEさんが本社VMDに昇格。Eさんのポジションには同じ横浜店でヒラをやっていたFさんが店舗内昇格。Fさんの穴埋めに、福岡店からGさんが異動。

といった感じで、本社スタッフが退職した際に、中途採用ではなく社内のポジションチェンジで賄う場合にも玉突きで異動が発生します。Gさんかわいそす…。

 

これ以外にも、新店舗のオープンが異動に影響するパターンが考えられます。

皆さんもアパレルで働いていると、ヘルプなどの形で新店オープンに直接携わった経験がある方も多いかと思いますが、新しい店舗ができるということは、その店舗のスタッフはどこかの店舗から異動してくるわけで、その人数分の穴埋めが必要になります。

 

といったように、異動が発生するのは基本的に外的要因であることが多いです。もちろん、穴埋めが必要な状態になったとして、誰をどこに異動させるのか?という判断については、その人の持っているスキルと店舗で必要なスキルのマッチングが関係するわけですが。

 

異動先の店舗で新しい同僚と関係を築いていく難しさ

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近隣の店舗同士の異動であれば、元同僚やヘルプなどで顔を合わせたことがあるスタッフが多く、馴染みやすいですが、遠方への異動だとそうはいきません。

すべてのスタッフと完全に初対面の中で、すでに出来上がっているチームの中に溶け込んでいく必要があります。

同じブランドであっても、店舗ごとの文化やローカルルールの違いに戸惑うこともしばしば。

 

都市圏と地方では同じアパレル店舗でも温度差がある

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異動のときに厄介なのが、地方店舗から都市圏の大規模店舗に移ったときです。

大型店舗に所属しているスタッフは、良くも悪くも意識が高く、一つ一つの業務に対するモチベーションも高いです。

彼らは、ブランドの主力店舗に所属していることに対するプライドが高い傾向にあり、小さい店舗からスタッフが異動してくると、小馬鹿にしてくる輩も少なからず存在するんですよね。別にどっちでもいい業務の遂行方法に関して、「〇〇店ではそれでいいかもしれないけど、うちはこうやってるんで」みたいな小言をいってくるやつとか、ぶん殴ってやろうかと思いますが 笑

では、逆に大型店から小型店に異動したときはどうか?というと、反骨精神を持って挑んでくる輩がいて、これはこれで厄介です 笑

アパレル販売員の仕事において同僚は、仲間でありながら、同じポジションへの昇進を狙うライバルでもあるという側面が、特に一般社員の間は強くあって、こう言った軋轢は起こりやすいですね。

 

アパレルでは大型店はスペシャリスト。小型店はジェネラリストが求められる

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異動のときに強く感じるのが、店舗ごとにスタッフに求められるスキルが違う、ということです。

これはアパレルに限らずですが、大きな組織の場合は仕事が分業制になっており、担当職務を専門的に極めていける反面、範囲外の業務に関してはノータッチのままキャリアを積んでいく傾向にあります。つまり、スペシャリストが求められます。

逆に、小さな組織の場合は一人で色々な業務を兼務する必要があり、幅広い職域をカバーできる分、特化したスキルを積みにくいです。従って、何事も万弁なくこなすことができるジェネラリストが求められます。

 

大型店→小型店の異動はギャップに苦労しがち

異動と言う話でいくと、苦労することが多いのは圧倒的に前者から後者への場合です。

実際に私が見てきた同期の女性スタッフの話ですが、旗艦店でずっと接客業務だけを専門的に極めてきたので、ストックやVMD関連のことが全くのちんぷんかんぷんの状態で、小型店の副店長に昇進してしまいました。態度が横柄だったので、私は嫌いな人でしたが 笑

接客は確かに全国トップクラスのスキルを持っているけど、マネージャークラスになると、プレイヤーとしての能力は不要になる場合がほとんどです。むしろVMD、数字の管理、スタッフの育成といった、店舗全体のために働く部分が必要になる中で、一切VMDのことが分かりませんっていう状態だと、さすがにキツイ。

人間だれしも、自分に自信を持てないと仕事も空回りしがちで、プライドが服を着て歩いていたような彼女が、見る見るうちに元気をなくしていく様子は、見ていてもちょっと辛かったです。

そんな彼女は、最終的には接客スキルオンリーで輝ける他ブランドへ転職してしまったのでした。

 

異動がアパレル退職のきっかけになることも

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冒頭でも述べたように、私の場合は異動が続いたことが、ブランドを退職して異業種に転職する大きなきっかけになりました。

結婚を控えていたのですが、転勤なしの職業についている彼女のキャリアアップを私の都合で妨げたくなかったのですね。単身赴任という手段もありますが、子供ができたときのことを考えると避けたいと思ったのでした。私はイクメンでありたいと思っているのです 笑

 

引っ越し代は会社負担だけど家具代は自腹

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これも地味に効いていたことです。

引っ越しを伴う異動の場合は、引っ越し代は会社が負担してくれるのですが、部屋ごとにあった家具や家電を用意しようと思うと、そのお金は自腹になります。当然といえば当然ですが。

例えば同じ家賃6万円の部屋でも、東京で借りられる部屋と地方で借りられる部屋では、広さも設備も全く違いますよね?そうなってくると、必要な家財道具も全く変わってきます。

地方の一人暮らしの部屋で使っていたIHのクッキングヒーターが、東京の部屋だと使えないとか。部屋が狭くなるので、ソファを捨てないといけないとか。地方ごとの寒暖差によって、必要な冷暖房器具も変わってきます。

引っ越しするごとに家財道具のための出費が数万円あるってキツイです。そりゃあ、我慢すれば何も買わなくても生きてはいけるんですけどねー。

まあ、そもそも東京の家賃が高すぎるっていう問題もありますが。

 

旅人のようなノマド精神を持ったアパレル販売員は転勤族も楽しめる

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と、まあ異動のいやなところを書いてきましたが、実は結婚を考える前の私は異動がそんなに苦ではなかったのです。どないやねん。

元々、一人旅が趣味だったこともあり、それまで旅行でしかいけなかったような場所に移って、その土地の文化に触れ、特産品を食べるという生活も、悪くないと思っていたのでした。

余談ですが、暮らしやすさでベストだったのは北海道の札幌でしょうか。生活費は安い、適度に都会、ちょっといけば自然がいっぱい(夏場のドライブは最高です。冬は雪道が怖くて一回も車に乗りませんでしたが 笑)、料理が最強においしいと、いいことづくめ。

このように、仕事は仕事として頑張りつつ、異動先でのプライベートの時間を旅行感覚で楽しめる、ノマド精神を持ったアパレル販売員にとっては、むしろ異動はラッキーぐらいの感覚かもしれません。さすがに私はそこまでの境地には達しませんでしたが 笑

 

アパレル人生で異動は大きな節目

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アパレル販売員の仕事と異動は切っても切れない関係です。

この仕事を選んだ以上は、まだ異動を未経験の方も「いずれは」と覚悟しておかないといけません

既婚者や、近いうちに結婚を考えている人にとっては、私のように転職の大きなきっかけにもなるビッグイベントにもなり得ます。また、異動と同時に昇進となるパターンも多く、その場合は、異動がアパレル販売員のキャリアにとっても大きな節目になります。

もしも異動の辞令がおりたらどう行動するべきかはあらかじめ考えておきましょうね。

 

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