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雨が多い街だね-元・アパレル販売員かく語りき-

元アパレル販売員で今はアパレル業界の中の人をやっている著者がファッションと関係することや関係しないことを書くブログです。

フリースタイルダンジョンと高校生RAP選手権が、この国におけるヒップホップを文化にしていくのかもしれない

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まずは高校生RAP選手権の魅力について考える

 

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MCバトル、フリースタイルラップが人気です。

この人気の最初のキッカケになったのはスカパーで放送中の、小藪一豊が司会を務めているテレビ番組『BAZOOKA!!!』内の企画『高校生RAP選手権』でして、説明するまでもなくこれが面白いんです。

 

 

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毎回ハイセンスなオープニング映像。往年のPRIDE並に冴えてます。

 

 

後述するフリースタイルダンジョンもそうなんですが、この企画の面白さって勝敗の分かりやすさとドラマ性が両立されてるからだと思うんです。

 

 

●勝敗の分かりやすさ


 

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 例えばバトル直後に視聴者が「こっちが勝ったな」って思ったラッパーが勝つ。「この勝負は甲乙つけがたいバトルだな」って思ったら票が割れる。そう言う、ジャッジとか勝敗への納得度が高いんですよね。スポーツばりに競技性が高い上に、強いやつが勝つ。って言う分かり易さがあるのが魅力かなと。

やっぱ、誰が見てもニガリは大会を経るごとに強くなってるし、言×THE ANSWERは上手いですもん。

 

●ドラマ性


 高校生が青春を掛けて本気でMCバトルをするわけです。その中には、少年院上がりの不良だったり、アイドルオタクだったり、ド田舎から出てきたトッポい兄ちゃんだったり、元・引きこもりだったり、様々なバックボーンがあるんですけど、そいつらが全員平等にステージの上で戦う、って熱すぎるでしょ。

 

 

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 全国の少年少女に勇気を与えるGOMESS

 

ドラマ性と言えば、勝負に掛ける熱量も尋常じゃないなと思っていて。ちょっと考えてみて欲しいんですが、日本のテレビにおいて、サッカーや野球などのスポーツ以外のジャンルで、本気で勝ち負けを決める勝負って他にありますか?さらに言えば、その勝敗に対して、戦っている本人や視聴者が涙を流すほどの熱量を持っているものってありますか?

僕が知る限りでは、肩を並べられるのってAKB48の総選挙、M-1グランプリぐらいじゃないでしょうか。本当にそのへんのビッグコンテンツと同じだけの熱量がある企画だと思います。

 

そしてフリースタイルダンジョンについて

 

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高校生RAP選手権も熱いですが、今なんと言っても熱いのがフリースタイルダンジョン。高校生RAP選手権でジワジワと芽吹いていたMCバトル人気が、地上波放送の『フリースタイルダンジョン』で爆発している感じですよね。

 

●「高校生RAP選手権のその先」としてのフリースタイルダンジョン


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思えばフリースタイルダンジョン初回放送の最初のバトルは、チャレンジャーのDragon Oneに対して、高校生RAP選手権で絶対王者として君臨していたT-PABLOWでした。そして、そのバトルでT-PABLOWは負けました。

結果論ではあるんですが、このバトルに込められた番組からの最初のメッセージって、「この番組は高校生RAP選手権よりもずっとレベルが高いステージだぞ」って言う宣言だと思うんですよね。なので、それ以降も高校生RAP選手権出身のラッパーが何人も出てくるけど、ことごとくモンスターに返り討ちにされるわけです。その階層化が上手いし、やっぱ誰が見ても高校生RAP選手権出身のラッパーよりもオッサンたちの方が相対的に上手いんですよね。ただ、そんな中でT-PABLOWが明らかに回を重ねるごとに上手くなって勝ち星を重ねて来てるのは本当にすごいです。

 

 

 

●やっぱりここでもドラマ性 


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この番組の人気に火が付いたのって、般若がバトルした回の反響が大きくてバズったのがキッカケかと思います。今の時代に般若がフリースタイルをするだけでも事件で、この場に出ること自体がとんでもないリスクを背負ってるわけです。しかも、いざ出てきたら滅法強くて熱いって言う、こんなによく出来たドラマは無いですよ。その前にR指定が負けたこともかなりの事件なんですが、それを上回る衝撃でした。

 

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そして、最新回のRec20で出場したのが、まさかのラッパ我リヤ Mr.Qって言うね。

隠れモンスターって前回のACEみたいに、現役バリバリの強豪ラッパーが出るものだと思ってのに、こんな大ベテランが出るって誰が予想してました?MCバトルから遠ざかってる大御所が出るにはハイリスクすぎる場所ですよ。

で、実際バトルが始まるとやっぱりとんでもなく熱くて。3ターン目なんて泣きましたよ。いや、客観的に見て単純なフリースタイルラップのスキルって言う意味では般若もQも、R指定とかDOTAMAとかACEとか焚巻に比べたら、恐らく下です。時代とともにフリースタイルラッパーのスキルは進化してるので、リズムの乗せ方とか韻の手数でいけば現役の方が上手いです。

ただ、言葉の重みが違いすぎる負けたらすべてを失うかもしれないリスクを背負って今ここに立ってる覚悟の重さと、ヒップホップを本気で盛り上げたいと思っている強い気持ちがビンビンにほとばしってます。やっぱりここにもドラマがあるんですよね。

 

近い将来ヒップホップは文化になる

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まず、恐らく今から3年以内に起こることとして以下の事柄を予想しておきます。

 

  • これはすでに起こってることだと思うんですが、街でフリースタイルラップのパフォーマンスやサイファーをやっている若者の姿を見かける頻度が増えます。そして、それは都市部だけでなく早いタイミングで郊外にも派生するはず。これは、今のフリースタイル人気がネット発信のトレンドであることと、スマホ普及で情報格差が無くなったことに起因します
  • これまでであればバンドをやっていたような、音楽に興味を持つ中高生がヒップホップ、とりわけフリースタイルラップに流れます。大きな理由としては、マイク一つで始められるので楽器代やスタジオ代がいらないこと。そして何より、バトルMCがモテる時代がすぐそこまで来ていること。思春期のモテたい気持ちに勝てるものはありません。
  • 全国の私立高校や大学に「ラップ部」「ラップサークル」ができます。それに伴って、学園祭のイベントとしてMCバトルが定番化します。ますますMCバトルが強いやつ=モテるの図式が出来上がります。

 

 こんな感じで「俺もやってみよう」って、リスナーから演者に回る人たちが生まれてくるようになれば、どんどんフリースタイルラッパーの層が厚くなって、レベルも上がって、大会の数も増えて、ヒップホップはこの国で文化になっていくんじゃないでしょうか。

 ジャパニーズヒップホップの歴史を振り返ると、「今夜はブギーバック」や「DA-YO-NE」がヒットした時だったり、DragonAsh、RIPSLYME、KICK THE CAN CREWがチャート上位にいた時代だったり、これまでにも何度かヒップホップがブームになりかけたタイミングはあったはずです。でもその時に足りなかったかのはきっとコレなんですね。受け手と送り手のバランス。80年代のバンドブームがその後の日本のロックの礎を築いたように。

 

今の中高生は物心ついた頃からヒットチャートにラップの曲があった世代で、これからは学校のクラスにラッパーがいるのが当たり前の世代になります。20代後半以上の人とは、ラップに対して全く違う価値観を持った彼らの世代が、今後どんなシーンを築いていくのかが楽しみですね。

  

今後のフリースタイルダンジョンに望むこと

 

 

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 「フリーキーなフロウ」っていう言葉の意味が一発で分かる鎮座ドープネスのMCバトル

 

今回のQの参戦なんてまさにそうだったんですが「え、この人がこのステージに上がるの?」って言うサプライズや勇気ある挑戦がもっと観れたら最高ですよね。

単純にMCバトルの現役最強クラスって意味では呂布カルマや鎮座ドープネスかもしれないし、伝説のバトルMC枠でいけば環ROYやKREVAかもしれない。勿論、出場するのにはとんでもないリスクがあるんですけど、勝てば一夜でヒーローになれる場所でもあるわけで、ますます、K-1選手や五輪メダリストが次々と参戦していた往年のPRIDEじみて来ました。

 

 

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 本当にKREVAが出たら全国のヘッズが震える

 

●逆にこうはならないで!と言う希望 


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今の人気から考えると、もう少し浅い時間帯にスペシャル放送とかって言うのも現実的な話かもしれないですね。本当にそんなことになれば嬉しいのですが、深夜の人気番組がゴールデンに進出したら面白くなくなるのと同じ現象が発生するのであれば、それだけは阻止してほしいのが正直なところです。例えば、いつでもyoutubeで観られるのに過去の名勝負の再放送に時間を割くとかね。観覧席にヒップホップに興味がないスポーツ選手やアイドル入れちゃうとかね。まあ、ZEEBRAはそのあたりのさじ加減は分かってそうですが。

 

ヒップホップの未来は明るい

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高校生RAP選手権とフリースタイルダンジョン。この二大コンテンツに注目しつつ、ジャパニーズヒップホップの未来を予測してみました。こう考えると、これからはヒップホップがビジネスとして儲かる一大ジャンルになる可能性もありますね。

MC漢の自伝のタイトルが『ヒップホップ・ドリーム 』(ちなみにガチの名著で文学です)でしたが、まさにヒップホップドリームがこの国で現実的な話になっていくのも遠い未来の話ではないのかもしれません。

 

 

当ブログは、アパレル業界から広告業界に転職した管理人が、ファッション、音楽、映画、文学、アニメなどサブカル全般について書いています。
気が向いたときにだけ更新してるうちにまとまりの無い雑記ブログになりました