雨が多い街だね-アパレル販売員からの転職者が書くブログ-

元アパレル販売員で今は転職してアパレル業界の中の人をやっている著者がファッションと関係することや関係しないことを書くブログです。

子供服・ベビー服の販売員に求められる接客はメンズ・レディースとは別物な件

▼2020年4月追記

コロナウイルスの流行にともなう緊急事態宣言の発令に合わせて、しばらくお休みしていたブログを再開しています。

こちらの記事を書いたのは2年以上前ですが、今やアパレル業界では倒産を間近に控えた会社が激増。生き残ったブランドもリアル店舗は完全に縮小してECシフトの流れが確定的になりました。「販売員を続ける」という選択肢が限りなくゼロになっている現在、この記事に書いている内容も古い情報になってしまったと感じています。

ということで、現在の状況について書いた下記記事も、合わせてご一読ください。

 

【必読】緊急事態宣言の発令に寄せて

 (追記ここまで)

なんとなく楽しいイメージがある子供服・ベビー服ブランドの販売員の仕事

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普段メンズやレディースのアパレルで働いていると、たまに考えてしまうのが「子供服とかベビー服のブランドで働いたら楽しそう」と言う現実逃避です(笑)。特に、女性の販売員で小さい子供が好きな人にとっては「かわいい赤ちゃんや子供と楽しく働いてみたい」と考えるのは、あるあるの一つです。 

なんとなく、子供服・ベビー服ブランドと言うと「子供と楽しく遊びながら働ける」というイメージがあります(よね?)。

 

私は、某ファストファッションブランドで働いていたときに、副店長に昇進するタイミングで、子供服・ベビー服フロアの担当にブランド内異動をしました。その時の経験から、子供服・ベビー服の販売員の接客ってこんな感じだよーって言うのを、いいところ悪いところの両方説明します。 

 

子供服・ベビー服ブランドでの接客はメンズ・レディースとは全くの別物

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メンズ・レディースと子供服・ベビー服の接客にはいくつかの違いがあります。

まず、商品を販売するために必要なトークスキルの面の話でいくと、基本的に「服を売る」と言うのはメンズ・レディースであろうが、子供服・ベビー服であろうが同じなので、メンズ・レディースで接客が強い販売員は、同じように子供服でも売ります。

ただ、接客をするにあたって、メンズ・レディースとは異なる感覚があるのも事実なので、そのあたりを説明します。

 

子供服・ベビー服はサイズ展開が多すぎ問題

子供服・ベビー服ブランドで働くと、まず覚えないといけないのがサイズについて。

ブランドによって多少変わりますが、ベビー服なら50cm~100cm、子供服(厳密にはトドラー服とジュニア服)なら100cm~170cmの間でサイズ展開されているが一般的。それぞれのサイズを何歳の子供が着るのに適切なサイズなのか?をまずは分かっていないといけないです。

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引用元:http://trend-town.info/

 

子供を見た瞬間に身長とジャストのサイズが反射的に分かるって言うのは、子供服で働いていると、当たり前に備えているスキルだったりはします。メンズやレディースだと同じようにお客さんのサイズが反射的に分かる人も多いかと思いますが、子供服の場合はサイズ展開が広いので、これが最初のうちは結構難しかったです。

しかも、メンズやレディースの場合は、当然本人が買いに来るので試着ができますが、ベビー服・子供服の場合はお母さんだけで来店されることも多い上に「今の体型にジャストのサイズにするのか?1年後も着れるようにサイズアップするのか?」と言った、子供服・ベビー服独特の、サイズ感が存在します(まあ7,8割のママさんは、大きめを買いますが)。

自分に子供がいない販売員の場合は、勤務したての頃は「自分が3年生のときは130cm着てたっけ?140cm着てたっけ?」と、自身の幼少期を思い出しながら接客する、と言うのも、これまたあるあるです 笑

 

また、特にベビーの場合は、赤ちゃんが生まれてからどのように成長し、パパやママが子育てをする上で、洋服がライフスタイルの中でどのように使われるのか?を知らないといけません。

例えば、オールインワンやカバーオールは何歳までの子が着るのか?子供が自分でボタンを開け閉めできるようになるのは何歳からなのか?冬場に赤ちゃんにはどの程度の厚着をさせるべきなのか?

そう言った、子供がいない人にとっては分かりにくい微妙な感覚を知識として学ぶ必要があります。子供服ブランドに主婦のパートさんが多いのも、こう言った子育てしないと身につきにくい知識を、自分の経験から理解しているからなんですよね。買い物に来たお客様からも、若い店員さんだと「この人本当に大丈夫かな?」と思われてしまいがちなので。

 

ショップに来る子供はマジで走り回る

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ベビーよりも、どちらかと言えば子供服ブランドの話になりますが、土日なんかに子供が大量に来店すると、店内を走り回ったり、レジの中に入って来たりと、まあ大変です 笑

親ももっと注意してくれよと思うんですが、ママは服を選ぶのに夢中なので、子供に手が回らないこともしばしば。「キュートな子供たちに囲まれて働けるなんて幸せ☆(テヘペロ)」と思っていると、本当に痛い目を見ますよ!

ベテランの子供服販売員であれば子供をなだめるのが上手いですが、子供服の仕事に就きたてだと結構、どう接したらいいかが難しいんですよね。子供服のアパレルブランドの仕事を経験すると、保育士さんとか小学校の先生を心の底からリスペクトするようになります 笑

 

ママが販売員の声に耳を傾けてくれやすいことで接客が楽な面も

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先ほども書きましたが、子供服・ベビー服の場合は、接客する相手は服を着る本人ではありません。小さい子でもおませさんな女の子や、小学校高学年の子ぐらいになると自分の好みも出てきますが、基本的に決定権はお母さんやおばあちゃんなどのご家族です。

同じように女性を接客するのでも、本人のものではない服を売ると言う部分に、レディースとの微妙な違いが存在するわけです。

これは良い点ですが、メンズ・レディースよりもお客様が販売員の言葉を圧倒的に信じてくれます。特に、ベビー服を買いに来たお客様や、男の子の服を選びに来たお母さんは、結構な確率でこちらがおすすめしたものを買ってくれます。

なぜなら、お母さんもベビー服やボーイズファッションのことがよく分からないから。特に、一人目のお子さんの場合なんかはその傾向がさらに顕著になります。

感覚的には、メンズのショップに彼氏のプレゼントを買いに来た女性や、レディースのショップに彼女のプレゼントを買いに来た男性を接客するのに近いです。「クリスマスプレゼントを買いに来たけど、ちょっと何選んだらいいのか分からないんですけど」と言う感じで来店される、あの感じです 笑

なので、最初に挙げたような子供服・ベビー服に必要な知識の習得と、子供の扱い方に慣れさえすれば、総じて売りやすいことは間違いありません(私のように数年間かじっただけでなく、子供服・ベビー服を長く販売している人からしたら「そんなこと無いよ!」と言う声が上がりそうですが 笑) 。

 

まあ色々言うたけど、そら子供はカワイイわな

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子供が好きな人にとっては、新たなチャレンジの場所として子供服・ベビー服って言うのはアリです。ただ、これまでメンズ・レディースだけでやって来た人にとっては、今回挙げた接客の面以外でも様々な違いがあるので、その点には留意しておきましょう。

他にも、メンズ・レディースであれだけ苦しめられたダウンジャケットのストック収納が、ベビー服や子供服だと容量が小さく済むとか、トルソーやボディが軽くて着せ替えが超楽とかって言う細かな良い点もありますが、そのあたりの接客以外の点については、また後日。

 

それでは、このあたりで。