アパレル業界でキャリアアップできない販売員にありがちな3つの特徴
▼2020年4月追記
コロナウイルスの流行にともなう緊急事態宣言の発令に合わせて、しばらくお休みしていたブログを再開しています。
こちらの記事を書いたのは2年以上前ですが、現実はもっとシビアでした。
今やアパレル業界では倒産を間近に控えた会社が激増。生き残ったブランドもリアル店舗は完全に縮小してECシフトの流れが確定的になりました。「販売員を続ける」という選択肢が限りなくゼロになっている現在、この記事に書いている内容も一部、古い情報になってしまったと感じています(今のアパレル販売員の立場は「辞めるか辞めないか」じゃなくて「少しでも早く辞めて命と生活を守れるか」のフェーズなため)。
ということで、現在の状況について書いた下記記事も、合わせてご一読ください。
(追記ここまで)
私がアパレルを辞めたとき、満足感があった
アパレルで10年働いたあとに異業種に転職した私ですが、当時はキャリアアップするために日々、努力をしてきました。ただ、最終キャリアは大手ファストファッション系SPAの副店長だったので、最後まで店長を経験することはありませんでした。
とは言え、同期が何百人もいるような大規模のブランドで副店長(しかも旗艦店でした)のポジションを勝ち取ったという自負はあって、それは生半可でない努力と、多くのしがらみに耐え抜いた忍耐があったからだと思っています。
給与面と体力面が転職の最も大きな理由ではありましたが、一方では「ここまでやったからもういいよな」と思える程度にはやり切った感・満足感もあったのでした。
大型店舗では、キャリアアップを夢見る50~60人の部下の面倒を見た
私自身もキャリアアップのために相応の努力はしたわけですが、それと同時に、出世欲を持った多くの後輩や部下たちのキャリアアップの面倒を見てきました。
サブの一番の仕事は、勿論お店の売上を最大化することですが、そのためには部下たちのスキルアップや成長を促し、チーム力を強くすることが何よりも大事です。彼・彼女らが成長するように導き、キャリアアップさせてあげることが結果的に自分の評価へも繋がりますし、それは自分のことのように嬉しいことでもあります。
私が転職してからも「サブに上がりました」って言う報告をしてくれる後輩もいますが、やっぱり今でも嬉しいものですね。
上司から口酸っぱく言われた「自分の分身を作れ」
アパレルに限らず、多くの仕事で言われがちなことですが、部下を育てるには「自分の分身を作る」と言う気持ちで接することが大切です。特に、全国展開のアパレルであれば異動も頻繁にあるため、自分が店舗からいなくなったあとでも、後釜となれるスタッフを育てることは命題でもあります。
ただ、私の場合はなんでも自分でやろうとしてしまうところがあったので、この手の育成にはとても苦労しました。
上記「自分の分身を作れ」は、当時の上司からよく言われた言葉です。私のメイン業務は店舗のVMDだったのですが、店長からは「気づいてもすぐにお前がやるな」「部下が自ら気づいて行動できるように成長させろ」と、何度バックヤードで詰められたか分かりません 笑
多くの部下を見て気づいた「キャリアアップできないアパレル販売員」の特徴
そんな感じで店長に怒られながらやっていた私ですが、大型店で多くの部下を見てきたことで「キャリアアップできる人」「キャリアアップできない人」の違いがなんとなく掴めるようになってきました。
例えば、異動して新しいメンバーと働くことになったとしても、一日その子と一緒に働けば、なんとなくポテンシャルが見えてくるものです。
サブにキャリアアップできずに、万年ヒラのアパレル販売員の特徴を述べると以下のようになります。
- 自主性を持って動けない
- チームの成長を促せない
- 数字を意識できない
では、それぞれ詳しく解説していきましょう!
キャリアアップできないアパレル販売員の特徴1:自主性を持って動けない
ヒラとしてのキャリアが長くなってしまっているスタッフに多く見られるのが「いつまでも新人と同じように指示を待っている」受動的な姿勢です。
アパレル店舗では常に何かの問題は起こるものですが、それをどうやって改善していくかを考えるのは、何も店長・副店長だけの仕事ではありません。
その問題とは、売上が落ちているとか、店頭でのスタッフ間の連携が取れていないとか、ストックが崩壊しているとか、レジのミスをするスタッフが多いとかって言うのも当然ながら、取り置き棚の整理ができてないとか、デベロッパーへの挨拶が雑になってるとか、電話を誰もなかなか取らないとか、って言うこまごましたことまで、挙げだせばキリがありません。
そう言った様々な問題の解決のために、自主的に何かのアクションを起こせるかどうか、と言うのはキャリアアップを目指すためのカギと言えます。
ちなみに、その問題にそもそも気付けていないのであれば視野が狭いと言う話になるので、これはこれで別問題としてまずいですが、今回は割愛します。
そして、気付いているのに何も自分からアクションを起こしていないのであれば、その受動的な姿勢を変えないといけません。あなたの発信する提言が、周囲のスタッフとトラブルが起こる可能性があるのだとしてもです。
自分の中にある「店のため、お客様のためにはこうするのが正しい」と思う方法を提案し、店舗をよりよい方向へ導かなければいけません。
なぜなら、店長や副店長になれば「店舗をよりよい方向へ導く」ことこそが、自分の一番の仕事になるからです。
キャリアアップできないアパレル販売員の特徴2:チームの成長を促せない
ヒラの間の評価と言うのは、あくまで個人の評価の比重が大きくなります。極端な話、店舗の売上が悪くても、個人売りさえよければ高評価がもらえるブランドも多いでしょう。
しかし副店長以上になると、会社からの自分の評価指標となるのは、店舗の売上になります。店舗全体の売上をアップするためには、自分がどれだけ接客を頑張っても意味がなく、店舗スタッフの成長を促し、チームとしての力を強固なものにしていかなければいけません。
副店長を目指すのであれば、ヒラのうちからこの感覚を持っている必要があります。
私の経験上、接客が得意で個人売りはめちゃくちゃ取るのにキャリアアップできない人は、大抵このパターンに陥りがちです。
このタイプは、接客が好きで販売業務をしている自分に誇りを持っている反面、エゴイスティックになりがちです。極端な話、後輩や同僚に自身のスキルや経験を共有することを「自分のスキルが盗まれてしまう」と感じて嫌がる人もいます。
自分の持っているスキルを共有することよりも、店舗と言う狭い世界の中で、同僚に実力差を見せつけることで優位に立とうとするようなタイプは、マネジメントが必要な副店長以上へのキャリアアップは難しいでしょう。
ようするに、会社や店舗の売上よりも、自分が一番でいることに執着しているということですからね。
このタイプでも、運よく副店長になった人物を何人か知っていますが、間違いなく全員が店長や本部からボッコボコに天狗の鼻を折られて、ヘソを曲げて辞めてしまいました 笑
キャリアアップできないアパレル販売員の特徴3:数字を意識できない
2とも少し関連してきますが、ヒラのうちは「個人売り>店舗の売上」と言う意識で働きがちです。そうすると、
- 店頭に立っているのにその日の昨年売上を理解していない
- 今日の売上目標に対して今の進捗がどれぐらいなのかを理解していない
と言った「お前は今、何をゴールに店頭に立っているんだ」と言われてもしょうがない状態になってしまいます。
もちろん、店頭に立つスタッフ一人一人が、その日の自分に課せられた個人売りをクリアすれば、自ずと店舗の売上目標には到達しますが、そんな奇跡的な日は一年に一回あるかないかです 笑
その日の予算だけでなく、週次、月次の予算をどこまで把握できているのか?客単価やセット率の目標値は?など、数字に関してはいくつもの指標があります。それらの数字に対して、シビアに追い求めることができているでしょうか?もしかして、「数字の管理は上の仕事」って思ってませんか?今からその「上」になろうとしているスタッフが本当に、その姿勢でいいのでしょうか。
キャリアアップ後のレベルまで自分を引き上げないといけない
キャリアアップできないアパレル販売員の3つの代表的なパターンを挙げました。あなたは当てはまっていませんか?
何度か私は同じようなことを書きましたが、この3つに共通することはつまり、こう言うことです。
- キャリアアップしたければ、今のうちから目指す役職と同じ視点を持たなければいけない
- 「この仕事は上がやる仕事」と言う考えを捨てなければいけない
これらは自分の視点・意識をどこに置くか、と言う話です。
ヒラのうちからその先のキャリアを見据えて学ぼうとするスタッフと、今の役職で与えられたことだけをやっているスタッフであれば、前者の方が早くキャリアアップできるのは確実です。
もちろん、ヒラのうちから副店長の業務をすべてこなす、と言うのは現実的ではありませんが、積極的に上司とコミュニケーションをとることで教えてもらえることや、手伝わせてもらえることも必ずあります。
冒頭で言ったように、店長・副店長は「自分の分身を作る」ことが使命だからです。
では、本日はこのあたりで。
追記
ただ、ろくに何も教えてくれないような上司が揃っているような環境の場合は、さっさとそのブランドに見切りをつけましょうね。実際に、クズみたいな店長・副店長を私も経験したことがあるので分かります。「自分の位置に並ばれたくない」と思って、人のキャリアアップをむしろ邪魔してくるようなタイプも少なからずいるので。