雨が多い街だね-アパレル販売員からの転職者が書くブログ-

元アパレル販売員で今は転職してアパレル業界の中の人をやっている著者がファッションと関係することや関係しないことを書くブログです。

オールスターじゃなくてジャックパーセルがいい時もある

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以前このブログに、コンバースのオールスターが好きだぜ!っていう記事を書いたことがある。

そこでも少し書いたけど、同じコンバースのジャックパーセルも愛している。

似ているようで全然違うこの二つのスニーカーだけど、自分の中ではオールスターじゃなくてジャックパーセルでないとダメっていう場面が確実に存在する。

 

ジャックパーセルとオールスターは出自が違う

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ジャックパーセルの広告


ジャックパーセルはバドミントンプレイヤーのジャックパーセルが開発に関わった。

当時はバドミントン、テニス、スカッシュの選手が多く使用したシューズだ。オールスターはバスケットシューズなので、現代の感覚からしたら見た目が似ている二足だけど、出自が違う。

スニーカーを愛でる上で、そのシューズがもともとは何のスポーツのために作られたものなのか?っていうのは、とっても大切なことだと思っている。

例えばB-BOY、B-GIRLから愛されるスーパースターは当然ながらバスケットシューズだし、オールドスクールはスケートシューズだ。これが、もしもサッカーやテコンドーが出自だと、ヒップホッパーに愛されることはなかっただろう。

カルチャーはクロスオーバーしながらゆるく結びつく。

まあこれはスニーカーに限らない話なんだけど、ありとあらゆるアパレルアイテムにはルーツがあって、それを知っていることで「何と合わせよう」っていう判断が、より深いものになると思っている。

自己満足かもしれないけど、大切なことだと思う。

 

機能がスニーカーのデザインを呼ぶ

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テニスとバドミントンは兄弟だという、やや強引な前提で進めてしまうけれど、テニスシューズの名品といえば、アディダスのスタンスミスが挙げられる。

ジャックパーセルとスタンスミスには共通する雰囲気を感じる。

この感覚を言葉でうまく言い表すのは難しいけれど、「上品」「クリーン」「柔らかさ」…そんな、少し賢い雰囲気が感じられるのが、この二足だ。

爽やか紳士のスポーツであるテニスやバドミントンで使うシューズだから、あのデザインなのだ。

機能はデザインを呼ぶ。求める人がデザインを呼ぶ。

 

ジャックパーセルがまとう「いい子オーラ」

ジャックパーセルには独特の「いい子」な匂いがする。オールスターに比べて丸みを帯びたシルエットや、トゥのヒゲ、ついでにいえば履き心地も柔らかい。

女子がジャックパーセルを合わせるといい感じになるのも(もちろんオールスターでもいい感じにはなるのだけど)、男臭さを感じさせないジャックパーセルの個性によるものだと思う。

ジャックパーセルを語る上でカート・コバーンは外せないけれど、彼がオールスターでなくてジャックパーセルを履いていたは、逆説的だ。

いつも小汚い格好をして退廃的な音楽を奏でる彼が「あえて」ジャックパーセルを選んぶことに意味があるし、その感覚こそファッションにおける「外し」のお手本だ。

王道を外す遊び心にはバランス感覚が必要だ。カートがそんなことを考えていたとは思えないし、ナチュラルボーンなセンスでそれをやっていたのだと思う。

 

 

同じブラックでも全く違うオールスターとジャックパーセル

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オールスターの黒にはどう頑張ってもロックンロールな雰囲気が漂う。今まで世界中の数え切れないロックミュージシャンに愛されてきた歴史がそこにはあるから。

クロマニヨンズでもバースデイでもベンジーでもキングブラザーズでもニートビーツでもいいけど、ゴリゴリのロックンロールバンドのライブにいけば、客席の足元は黒いオールスターとマーチンだらけになる。音楽とファッションの関係もまた面白いけど、それは今回は割愛する。

 

同じブラックでも、ジャックパーセルにはやっぱり柔らかさがある。

キャンパスの両者で比べると、アッパーに白いステッチが目立つオールスターに対して、ジャックパーセルはよりプレーンだ。この違いが自分的には結構大きいし、ジャックパーセルの汎用性の高さの元かなと思っている。

これはホワイトにも言えて、なんと呼ぶのかわからんが、オールスターはソールとの境目の部分が赤いラインになっている。ジャックパーセルはそこにアクセントはない。

トゥのヒゲが唯一のアクセントだけど、これが青ヒゲじゃなくて赤ヒゲだと印象も違ってただろう。確か限定カラーでそんなのが出てた気もするけど。

 

持たない主義の強い味方であるオールスターとジャックパーセル

今現在は3月の中旬で、そろそろ桜の季節。アウターを必要としない日も増えてきた。

冬は足が冷えるから控えていたキャンパススニーカーの出番だ。今年も白と黒のジャックパーセルが活躍するだろう。

実家に住んでいた学生時代に、靴箱をどんどん侵食していく僕のスニーカーを見て、母親が「あんたはムカデか」と文句をいっていたけど、僕の足はやっぱり二本しかなくて、キャンパスのスニーカーを履ける日は限られている。

30を過ぎた今の僕は、数少ないお気に入りをローテーションしていくライフスタイルにしたいと思っている。たくさんの種類をコレクションする時期は過ぎた。極論、スニーカーはオールスターとジャックパーセルだけでいいんじゃないかとも思っている。

ミニマリストとか、フランス人は服を5着しか、みたいな文脈に似ていて気恥ずかしいけど、たくさんの物を抱えて生きていくのは、文字通り荷が重いと感じるようになった。

どんなときでも上品に収まってくれて、あらゆるファッションに合わせる汎用性を持つジャックパーセルは、そんな今の僕の強い味方だ。

 

 

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