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元アパレル販売員で今は転職してアパレル業界の中の人をやっている著者がファッションと関係することや関係しないことを書くブログです。

不人気アニメと言われても『六花の勇者』を全力で薦めたい。そしてアニメ最終回の続きの原作がとんでもなく面白い件

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年が明け、1月スタートの2016冬アニメもそろそろ放送開始と言う時期になって来ました。

思えば2015年は艦これ、デレマス、ラブライブ劇場版など社会現象的にヒットした作品があったり、SHIROBAKO、響け!ユーフォニアムなど大手が堅実に作った中身ある作品がヒットしたり、きんモザ、のんのん、ごちうさの萌えアニメ御三家が続けて放送されたり、はたまた、ダンまちの例の紐や、がっこうぐらしの衝撃の第1話など、瞬間風速で印象を残した作品もあったりと、アニメファン的には各クラスタが満足できる当たり年だった印象があります。

が、そんな中一つだけ皆さんに知っておいてほしい作品があります。BD売上は非常に少なく、決して話題にはならなかったけど、本当に面白い作品って言うのがありまして、個人的には布教活動をしたい作品。それが、タイトルにあるとおり『六花の勇者』です。

アニメ版を最後まで見た次の日には、原作のラノベを最新刊まで買い揃えまして、2日ほどで一気に読んでしまいました。この作品の魅力をアニメ版、原作版に分けて紹介します。

記事後半ではアニメ版のネタバレ有りで解説をしますが、事前に注意文を記載していますので、未見の方も安心してご覧ください。 

 

六花の勇者とはどんなアニメか?

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『六花の勇者』

■スタッフ

原作:「六花の勇者」(集英社/「ダッシュエックス文庫」刊)
著者:山形石雄/イラスト:宮城

監督 : 高橋丈夫(「狼と香辛料」「まおゆう魔王勇者」)
構成・脚本 : 浦畑達彦(「僕は友達が少ない」「境界線上のホライゾン」)

■キャスト

アドレット : 斉藤壮馬
ナッシェタニア : 日笠陽子
フレミー : 悠木 碧
ハンス : 鈴村健一
モーラ : 佐藤利奈
チャモ : 加隈亜衣
ゴルドフ : 内山昂輝

 

六花の勇者は集英社ダッシュエックス文庫で連載中のラノベ原作アニメです。

話のジャンルとしてはファンタジー+ミステリーで、大まかなあらすじはwikipediaの内容を要約して転載します(ネタバレ無し)。

 

1千年前、世界を破滅に追いやった魔神と呼ばれる存在が、一輪の花を武器とした聖者によって封じられた。一輪の花の聖者は「いつか魔神は蘇るが、そのとき自分の力を受け継いだ六人の勇者が現れて魔神を封じるだろう」と予言を残した。

そして魔神復活を前に、勇者たちが集結する。だが、その体に六花の紋章が浮かび上がった勇者はなぜか7人存在し、7人全員が森に閉じ込められてしまう。7人の中の誰かが敵であることに気付いた勇者たちは、互いに疑心暗鬼に陥る。
少年アドレットは最有力の容疑者となってしまう。本来は仲間であるはずの6人から追われながら、アドレットは7人目の策略の解明に挑む。

 

この作品はビジュアル的にも王道のラノベファンタジーと言う感じで、一見「ありがちなラノベ原作アニメ」って言う感じに見えなくもありません。

ストーリーも序盤は割と正統派な感じでお話が進みます。

しかし、あらすじにもあるように、ある地点から物語は犯人探しのミステリー、互いの腹を探りあう心理サスペンスに大きく舵を切り、最終回まで「偽者は誰か?」と言う謎を解き明かす展開に。

 

www.youtube.com

 

(ネタバレなし)六花の勇者の魅力とは?

 

1.謎解きストーリーの完成度の高さ

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まずなんと言ってもコレです。「犯人は誰?嘘つきは誰?」って言う謎解き部分がとにかく面白い!

犯人の予想を立てては裏切られると言う、どんでん返しの連続で、騙される快感みたいなのが何度も味わえます。この感覚ってアニメではなかなか無いものなので、とにかく一度体験してほしいと思います。 

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そもそも"6人いるはずの場所になぜか7人いる"って言うシチュエーションにワクワクしないワケがなく、この設定とファンタジーを組み合わせた時点でこの作品は勝ちです。

ただ、そんなアイデア一発勝負の作品なんかでは当然ないのは言わずもがな。

毎話の"引き"も上手くて、放送が終わるたびに「早く来週になってくれ!」と焦らされたのも良い思い出です。

 

2.常に緊張感のあるキャラ同士の関係性

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六花の勇者の登場人物たちは、基本的に周囲の仲間のことを信じていません。

誰かに気を許した瞬間に、実はそいつが犯人で殺されるかもしれないと言う極限状態で行動しているからです。なのでキャラ同士に馴れ合いの空気は一切ありません

そんな状況の中で疑惑を持たれた主人公のアドレットは、どうやって周囲から信頼を獲得し、犯人探しをしていくのか。このあたりが見どころ。

また、互いに心理戦と駆け引きを繰り返す中で状況は常に変化し続け、敵と味方がシームレスに入れ替わります。このあたりの、キャラたちが自分の命を守るために即時判断を下しながら行動していくあたりもスピード感があって面白い。

バトル要素も強い作品ではありますが、武力でお話を解決していくというよりも知力と話術を使った駆け引きで状況を打開していくことが多く、頭を使いながら戦っていく感じは『ハンター×ハンター』を思わせます。(原作小説の語り口などからも、おそらく世界観など含めて影響があるんじゃないかと予想しています)。 

3.好感の持てる主人公アドレッドのキャラ 

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事あるごとに、自分を"地上最強"と名乗る自信家の主人公であるアドレット。

第1話の時点だと「スラムダンクの桜木花道系の熱血主人公」と言う印象で、コレはちょっと今の時代にはキツいかもと結構な人が思うはず。実は私もでした(笑)。

キャラデザもちょっと腐っぽい匂いもしましたし。たぶんそこがダメで1話で離脱した人も多いんじゃないかなあ。 

ただ、このアドレット、実際に見ていくとすごくいいキャラしてるんです。

登場人物の中で戦闘能力では明らかに劣っているものの、裏技とも言えるような秘密道具を使いながら知力で戦っていく姿がまず格好いい!

その姿を見ているうちに、青臭いと思っていた"地上最強"という言葉に徐々に説得力が生まれ、いつの間にか彼を応援している自分がいました。まさに男が惚れる男です。

 

4.サブキャラも充実

アドレットだけではなくサブキャラも非常に個性的なのが六花の勇者。

 

ハンス

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まず、一部では主人公アドレットを越えるほどの人気キャラとも言われるハンス。

冷酷な殺し屋でありながら、全キャラ中最大の知性派。戦闘能力の高さと読みの鋭さで、主人公アドレットとともに物語を引っ張ります。

 

フレミー

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とても悲しい運命を背負った本作のヒロインの一人、フレミー

綾波的と言うか長門的と言うか、影があるタイプのヒロインで、人を信じることができない彼女がアドレットに徐々に心を開いていく過程もこの作品の大きな見どころです。この複雑なキャラの心理を巧みに表現するcv.悠木碧さんの演技も半端ない!

 

他にも、腹に飼っている魔物をゲロのように吐きながら駆使して戦うロリキャラのチャモや、脳筋系おばちゃんのモーラなど個性的なキャラが勢ぞろい。 

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 ※衝撃的なビジュアルですが、チャモは可愛いです。

 

(アニメ版のネタバレ有)アニメの続きの原作ラノベがさらに面白い!

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ここまではアニメ版・六花の勇者の魅力を未見の人に向けて書いていましたが、ここからはアニメをすべて観終わった人向けに、アニメ版終盤のネタバレを含めつつ、その先が描かれた原作の魅力を紹介。原作のネタバレは無しでいきます。

(※ここからアニメ版のネタバレあり)

 

 

 

 

アニメ版最終回では真犯人が判明したと思ったら勇者がさらにもう一人いた!と言う、とんでもないどんでん返しからの、見事なまでの”俺たちの戦いはこれからだエンド”で幕を閉じました。私もこれにはさすがにズッコけました。

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↑俺たた感が半端ないラストカット

 

実はアニメ版で描かれたここまでの話は原作6巻(続刊中)のうち、たったの1巻分だけ!ここまで丁寧に原作を丁寧に再現しようとしたアニメは本当に珍しいです(なのになぜ人気が出ない!)。

でも実は、六花の勇者はここからが本番と言う感じでして面白さは巻を進めるごとに加加速度的に上がっていきます。

2巻からは、引き続き「偽物の勇者は誰か?」と言う謎を追いつつ、それぞれのキャラの背景や心理描写をさらに深く描いていきます。

巧みな心理戦と裏切りの連続にハラハラしつつ、アニメ版では活躍しきれなかったキャラも大活躍。アニメ版最終話で見たときは「なんだこのブスは!」と思った新キャラのロロニアも、本当にいい味を出します。

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最新刊の6巻で物語は一旦区切りを迎えます。

読んだ人なら全員納得してもらえると思いますが、6巻終盤の見事な展開には舌を巻いてしまいました。これまで描かれた全てを覆し、この作品の意義を揺るがす事実が突き付けられますが、そこには決して無理やり感や、ご都合主義は存在しません。

思い返せば、アニメで視聴していた序盤の展開も含め、観た(読んだ)人が「そこはいちいちツッコむ所じゃないかな」「ちょっと都合がよすぎる気がするけど、まあいいか」程度に捉えていた細かな違和感がいくつかありました。

6巻の終盤で、その僅かな違和感がすべて伏線だったと読者は気づかされるのです。

アニメしか観てない人も、この読後感は絶対に味わってほしい!読み終わったあとに誰かと語り合いたくなるような展開なんですよね。

それもこれも、文章力やストーリーテリングの巧みさも含めて、原作者・山形石雄の作家としての実力があってこそ。大傑作確定!

7巻以降もどんな展開を見せてくれるのかが楽しみで仕方がありません。あと、原作でも引き続きハンスとフレミーが最高です!

 

アニメ版が気に入ったなら原作を今すぐ読むんだ!

と言うことで、世間的には決して人気作品とはお世辞にも言えない六花の勇者の魅力を大いに語りました。なんでこんなに面白い作品が人気が出ないのか分からない!

アニメ未見の方、途中で切ってしまった方、最終回まで見たけど消化不良の方、続きが気になる方。そんな皆さんに、ぜひ原作をオススメします!アニメ鑑賞後の方は原作2巻から読めば、全く問題なく物語に入れますよ!

さくさくと読めますし、とにかく続きが気になってページをめくる手が止まらなくなるタイプの小説なので、徹夜間違いなし!超絶おすすめです!

 どうせ一冊読み終わったらすぐに次が読みたくなるので、一気に6巻まで買ってしまうんだ!

 

アニメの続きから始まる2巻

2巻でスポットがあたるのはアニメ版ではダメダメだったあの人です。泣かせますよ。

 

六花の勇者〈2〉 (集英社スーパーダッシュ文庫) 

 

 

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